サボちゃん

GWの初日。
別に何もせず、のんびりと家にいる休日でした。
しかし今日はひとつ、ショックなことがあった。

2年ほど前だったか、母親に頼まれてホームセンターへ
「花の土」を買いに行った。園芸用の腐葉土だ。
ホームセンターの入り口の外付近で、園芸用の物が売られている。
そんな園芸用品売場にそいつがいた。
そいつは小さくちょこんと正座しているようだった。
さぼてんの「サボちゃん」との出会いだ。

親指よりも少し短い長さの小さい奴で、トゲがまばらに生えている。
小さな素焼きの鉢の中に、糊で固められた粗めの白い砂の中に埋まっている。
たぶん、糊で固めてあるという点から、園芸の植物と言うよりは
アクセサリーに近い感じで売っていたのだろう。
自分はそいつを思わず衝動買いしてしまった。
そして、見た瞬間から頭に浮かんだ「サボちゃん」という名前をつけた。
最初はそいつを本棚に置いた。かわいらしい。
母親に見つかって、部屋に置いておくと長くもたないと言われたので、
外に置き母親が育てている他の花たちと一緒に面倒を見てもらうことになった。
毎日毎日顔を合わせるって訳でもないが、
まめな母親が日に当てるためにガレージに出してあるそいつと出勤の時によく会う。
休みの日の天気のいいときに、家族みんながくつろぐ一階の洋間の窓のすぐ外にいて
かわいい姿を見ることができる。

今日、いつもの洋間の窓の外にそいつがいたのだが、様子が違う。
腐ってしまっていたのだ。
もう5月だというのにまだストーブがしまえない、この寒さが原因かもしれない。
水をやるとふやけるので固まったままではないのだが、
この糊で固めた土が原因かもしれない。
母親の話では、さぼてんは少々枯れてもうまくいったら復活するが、
腐ってしまったのはどうにもならないらしい。
枯れてしまうより、腐ってしまうのは見た目にもかわいそうだった。

たかが植物、小さいさぼてんなのだが、名前をつけてしまうとただの植物ではない。
それが「さぼてん」だから「サボちゃん」なんて安易な名前であっても。

さぼちゃん